上顎洞挙上術

上顎洞挙上術(サイナスリフト・ソケットリフト)とは

上顎洞挙上術とは、上顎の骨の再生手術のひとつで、サイナスリフトやソケットリフトとも呼ばれています。

人の鼻には「鼻腔」と「副鼻腔」という2種類の空洞があり、顔のほぼ正面、中央にある鼻腔を取り囲むように副鼻腔があり、副鼻腔は、上顎洞(じょうがくどう)や篩骨洞(しこつどう)、前頭洞(ぜんとうどう)などから形成されています。

上顎の奥歯にインプラントを埋入する際に、骨量が不足している場合、上顎洞に人工骨や自家骨(患者様ご自身の骨)を移植しインプラントを支える骨をつくる手術を上顎洞挙上術(サイナスリフト・ソケットリフト)といいます。

今まで、上顎の骨が足りない理由からインプラントを埋入することができず、入れ歯を使用せざるをえないケースの患者様に対して、新たな選択肢を提案できることから、この術式を用いる歯科医院もあります。

上顎洞挙上術(ソケットリフト) とは

ソケットリフトとは、特殊な器具を使用し、垂直方向に上顎洞を持ち上げ(拳上)し、補填材料を入れることで骨の量を補う骨造成の術式です。 通常インプラント治療は最低10mm以上の高さが骨になければ適用できず、上顎の高さが十分ではないが5mm以上ある場合に選択肢として考えられることが多いです。 特徴として、切開する範囲が小さいため、身体への負担を軽減できるので、痛みや腫れを抑えることができるため、日常生活への支障も最低限に抑えることができます。また切開範囲が小さいため、治療期間も短くなり、少しでも早くインプラントを埋入した生活を送りたい方へ適した術式とも言えます。 また、人工骨を身体に入れるのは不安であるといった患者様もいらっしゃいます。当院では、不純物や他の材料が含まれていない100%人工骨を採用しており、未知の感染症のリスクを抑える、炎症が起きた時は自然に吸収し大きなトラブルを防ぐよう努めており、安心して治療していただけるのではと考えています。

ソケットリフトのメリット・デメリット

ソケットリフトのメリットは次の通りです。
  • 外科処置範囲を最小限に抑えて骨の厚みを造ることが可能
  • 痛みや腫れ、術後の出血のリスクが低い
  • 身体への負担が少ない
ソケットリフトのデメリットは次の通りです。
  • 対応範囲が狭い
  • 治療を受けることができるケースが限定的
  • 上顎洞を貫通させた場合に副鼻腔炎や蓄膿症に感染する恐れがある

上顎洞挙上術(サイナスリフト) とは

サイナスリフトもソケットリフトと同様に上顎の骨に高さが足りない場合に採用される術式であり、歯茎を横から切開し骨を削り、上顎洞の底を押し上げて骨補填剤を填入します。 ソケットリフトの特徴として、上顎の骨の高さが5mm以上必要なことに対し、サイナスリフトは5mm以下の場合でも治療が可能です。また、インプラントを埋入する穴から骨造成を行うソケットリフトはインプラントの本数分の施術が必要なことに対し、歯茎を切開するサイナスリフトは一度に広範囲の骨造成が行えるので、隣接する複数本を治療することも可能です。

サイナスリフトのメリット・デメリット

サイナスリフトのメリットは次の通りです。
  • 骨の高さが極端に足りない場合でも治療可能
  • 隣接する複数本の治療にも有効
  • 切開を行うため、術野が見やすく粘膜損傷などのリスクが低減できる
サイナスリフトのデメリットは次の通りです。
  • 対応範囲が広く切開を伴うため、痛みや腫れによる身体的負担が大きい
  • 治療期間が長い
  • 上顎洞を貫通させた場合に副鼻腔炎や蓄膿症に感染する恐れがある

上顎洞拳上術のリスク

上顎洞拳上術のリスクとして、術後合併症の発生率は最大20%と報告されています。

術後合併症とは、手術後の好ましくない症状や状態のことを指し、上顎拳上術では副鼻腔感染症や血洞、口腔洞瘻、インプラントの喪失、移植片の喪失、副鼻腔炎などが挙げられます。

以下の論文(※1)では、術後合併症率20%と確率が高いことから、第一選択肢として上顎洞挙上術は行わず、第二選択肢として考える場合でも最小限にすることが良いと思います。

また、副鼻腔炎の既往にかかわらず、極力、上顎洞を触らずに、または触る場合でも最小限にし、インプラントを埋入することが大事とされています。

※1:(Katranji ,Amar DDS;Fotek, Paul DDS;Wang,Hom-Lay DDS,MSD,PhD)[sinus augumentation complications:etiology and  treatment]implant dentistry : September2008-Volume17-issue3-p339-349)

上顎洞挙上術(サイナスリフト・ソケットリフト)を回避する方法

術後合併症リスクの高い上顎洞拳上術(サイナスリフト・ソケットリフト)ですが、リスクを回避する方法はあります。

短いインプラント使用することで、上顎洞拳上を行わないことや拳上する場合でも最小限にとどめることができます。ただし、骨との接触面積を確保するため複数歯で連結する必要はあります。

次に、骨がある方向に傾斜埋入や親知らずの位置に埋入する方法もあります。ただし傾斜埋入の場合、歯ぎしりが強い方にはインプラントやスクリューの緩み、破折の可能性があるためおすすめできないことや、親知らずの位置は歯磨きが難しいことや頬の粘膜や舌を噛みやすいため、歯間を大きめに開けたり、歯を小さくする、連結させる、マウスピースを使用するなどがあります。

その他として、入れ歯やブリッジで対応することやてい出防止に硬いナイトガードを使用すること、骨があり普通埋入れ可能な箇所まで骨を作り、上顎洞拳上術が必要な箇所にはインプラントをしない(短縮歯列)などを検討することもあります。

また、事前予防策として、隣在歯の炎症を処置を施すこと、人工骨などの異物の使用を極力回避すること、耳鼻科で自然口の拡大や副鼻腔炎などの鼻疾患を治療する、花粉症や鼻炎アレルギーの症状が出にくい季節や時期に治療することが挙げられます。

特に隣在歯の治療は重要であり、症状がない場合でも隣在歯に炎症があると上顎洞粘膜を介してインプラントへ感染する場合があり、せっかく埋入したインプラントの脱落、撤去の可能性もあります。また、インプラント手術により症状がない隣在歯の炎症が急性化し、咬合痛や腫れ、熱感や痛み、上顎洞炎を引き起こす可能性がありますので、再治療や抜歯などしておくことがよいでしょう

上顎洞拳上術を含めた治療方法を東京でお探しの方へ

いかがでしたでしょうか?

上顎洞拳上術(サイナスリフト・ソケットリフト)のメリット・デメリットと回避する方法を知っていただいた上で、治療方法の選択を患者様ご自身と共に決めていくことを当院は尊重しております。

インプラント治療は、定期的なメンテナンスや長期的な治療が必要となることから、通いやすさなどを考慮して歯科医院を選んでいただければと思います。

また、すぐに歯を入れたいや費用を抑えて治療したいなどのご要望もあるかと思われます。

当院は都営新宿線、総武線の沿線に医院を構えておりますので、東京都内からのアクセスもしやすいかと思われます。
また、患者様のお口の中の状態や予算に対応できるように様々な種類のインプラントをご用意しております。インプラントにも治療方法や種類が豊富にありますので、ご自分に合ったものがわからないと感じた方は是非当院にご連絡いただければと思います。