インプラント体(フィクスチャー)の破折、土台(アバットメント)のネジ(スクリュー)の緩み

インプラント体(フィクスチャー)の破折の原因

インプラント治療は、インプラント体(フィクスチャー)、アバットメント(土台)、上部構造の3つによって構成されています。

インプラント体(フィクスチャー)とは顎の骨に埋め込むことで歯根の役割を担う部位、アバットメント(土台)とはインプラント体と上部構造を連結させる部位で、上部構造とは実際に食べ物を噛んだりする歯の役割を担う部位となっています。

人工歯根となるインプラント体(フィクスチャー)の破折の主な原因は、強い力(負荷)がかかってしまうことや、対合歯の種類、インプラント周囲炎などがあげられます。

・強い力(負荷)がかかる

強い力(負荷)の例としては、咬合力(噛む力)に対して歯の本数が少ないため、力の分散ができずに歯ぎしりや食いしばりなど上下の歯の接触時間が長くなったり、事故などの外的衝撃によって起こることがあります。

例えば、インプラントの本数を家の柱、咬合力を地震の震度、上下の歯の接触時間を地震の発生頻度と置き換えて考えると、柱の少ない家に、震度の大きい地震(揺れが強い)が頻繁に発生した場合、柱の多い家より少ない家の方がトラブルが起きやすくなります。

・対合歯の種類

対合歯の種類も上下どちらかが天然歯で対合する歯がインプラントの場合、天然歯の方が硬いために天然歯と比べてフィクスチャーが7倍破折しやすくなると言われています。

・インプラント周囲炎

インプラント周囲炎(歯周病のような症状)に罹ってしまうと骨吸収が始まってしまいます。インプラント周囲の骨吸収とインプラントの破折の関係は、骨吸収0mm~1.5mmの場合ではアバットメントに破折が生じ、骨吸収3mm~4.5mmの場合ではインプラント体に破折が生じたとの論文もあります。

特に埋入したインプラントの被せ物(上部構造)が動くと感じた場合は、速やかに歯科医院で診察を受けたほうが良いといえます。

土台(アバットメント)のネジ(スクリュー)が緩む原因

インプラント体(フィクスチャー)と上部構造(人工歯)をつなぐ土台となるアバットメントのネジ(スクリュー)が緩む原因として以下があげられます。

・インプラント体(フィクスチャー)と同じく、強い力(負荷)がかかってしまうことでの金属疲労

・被せ物(上部構造)に不具合が起きている

・適合精度

・歯のすり減りや移動、顎関節の変位や変化、抜歯や入れ歯による噛み合わせの変化、ブリッジ治療による変化など

・インプラント周囲炎による骨吸収

インプラント体(フィクスチャー)が破折した場合の対応策

インプラント体(フィクスチャー)が破折した場合の対応策として主に、力の分散や接触時間を少なくすることで負荷を軽減させる方法があげられます。

・咬合力に合わせた力の分散を図るために、埋入本数を追加する

・マウスピースやナイトガードなどの歯ぎしり防止装置を用いて接触時間の減少や力の分散を行う

・歯の頬舌径を小さくし、上下の歯がすぐ離れるようにし、接触時間を減少させる

・複数歯に連結させることやインプラントを太くする(太くさせ過ぎてしまうと、骨や歯肉が下がることもあります。)また、カンチレバーをなるべく行わずに無くすことも重要です

・無理に不正咬合を正常咬合に近づけず、インプラントの長軸方向を変える

・インプラント体の素材を純チタンから強度のあるチタン合金に変える

歯科医院による定期メインテナンスは、プラークや歯石の有無の確認はもちろんのこと、インプラントや他の歯、歯茎の状態や噛み合わせ、顎の骨の状態確認など総合的に診査を行いますので、トラブルを未然に防ぐためにも非常に重要となっています。

症状にもよりますが最終手段としての撤去によるインプラントの再治療、といったケースになってしまった患者様も稀に見受けられます。

土台(アバットメント)のネジ(スクリュー)が緩んだ際の対応策

土台(アバットメント)のネジ(スクリュー)が緩んだ際の対応策としては主に、力の分散や接触時間を少なくすることでの負荷の軽減方法があげられます。

・噛み合わせを調整する

・被せ物(上部構造)を柔らかい素材(ハイブリッド、GOLDなど)に変える

・咬筋にボツリヌス注射治療を行い、咬筋肥大を抑制する

・コンタクトを面接触にし、回転力を抑制する

アバットメントのネジが緩む場合は、インプラント・ネジの破折の前兆の可能性もあり、単にネジを締めるだけでは根本解決にならないことも多いですので、歯科医院を受診しましょう。

インプラント治療を東京でご検討の方へ

タキザワ歯科クリニック

インプラント治療は自費診療かつ外科手術となりますので、費用はもちろんですが身体にも負担がかかる治療です。

特にインプラント周囲炎が重度以上になってしまいますと、撤去と再手術などにより身体に負担をかけてしまいますので、インプラントの埋入までが治療ではなく、埋入後もセルフケアと歯科医院によるメインテナンスを行い、インプラント周囲炎を未然に防ぐことが重要だと考えております。

また、高負荷による破折も未然に防ぐことが可能ですので、口腔内での違和感を感じた場合には、早急に受診されることをおすすめいたします。定期的なメインテナンスや長期的な治療が必要となりますので、通いやすさなどを考慮して歯科医院を選んでいただければと思います。

さらに、「すぐに歯を入れたい」や「費用を抑えて治療したい」などのご要望もあるかと思われます。当院は都営新宿線、総武線の沿線に医院を構えておりますので、東京都内や千葉からのアクセスもしやすい立地となっています。

また、患者様のお口の中の状態や予算に柔軟に対応できるように様々な種類のインプラントをご用意しております。インプラントにも治療方法や種類が豊富にありますので、ご自分に合ったものがわからないと感じた方は是非当院にご連絡いただければと思います。