１回法インプラント
1回法インプラントとは
従来のインプラント治療は、歯ぐきを切開して開き、歯槽骨（歯を支えるあごの骨）にインプラント体（人工歯根）を埋め込んだ後に歯ぐきを閉じて縫合、歯槽骨とインプラント体の結合期間（4～6か月程度）をおいて、二次手術にて再び歯ぐきを開いてインプラント体にアバットメント（人工歯の土台）を取り付け、セラミックの人工歯を作成するといった流れでした。
１回法インプラントは、最初の手術でインプラント体の一部を露出させておくため、再手術の必要がなくなります。
元々２回に分けて手術を行っていたのは、インプラントの結合期間に細菌感染を予防するために、歯ぐきを閉じておくことが必要とされていたためですが、技術の進歩によりその必要がないインプラントであったり、手法が生まれました。
１回法インプラントでは、インプラントとアバットメントが一体となったもの（１ピース型）を使用する場合や、結合期間にインプラント体にキャップを装着しておく場合があります。
2回法インプラントとの違い
| １回法インプラント | ２回法インプラント | |
|---|---|---|
| 手術の回数 | １回 | ２回 |
| 患者様の負担 | 少ない | 大きい |
| 治療期間 | 二次手術がないため短縮できる | 比較して長くなる |
| 感染リスク | ２回法と比較すると若干上がる | 少なく抑えられる |
| 適応症 | あごの骨の状態によってはできない場合がある | ほとんどのケースで適応できる |
２回法と比較すると若干感染リスクが上がりますが、手術の回数が減らせることは身体にかかる負担や治療期間などに大きなメリットがあります。当院では感染防止に細心の注意を払って対策しておりますので、適応症例であれば１回法インプラントをお勧めしております。
1回法インプラントのメリット
身体への負担が少ない
外科手術が１回で終わらせられるため、歯ぐきを切開することや術後の痛みや腫れといった患者様の身体にかかる負担を少なくすることができます。また、手術や痛みに抵抗がある患者様にとっては精神的な負担も軽減でます。
治療期間を短縮できる
二次手術がなくなるため治療期間を短縮でき、通院回数を少なくすることができます。審美面や食事の不便を感じることが少なくなり、早期に元の生活が取り戻せることになります。
費用が抑えられる
手術の回数が減るということは、手術にかかる費用（消耗品や技術料など）が減るということなので、総合的な費用を抑えることになります。インプラント治療は高額な治療費がかかるため、費用が抑えられることは大きなメリットの１つです。
1回法インプラントのデメリット
骨再生法などを併用する場合に感染リスクが上がる
インプラントを埋め込む位置のあごの骨に厚さや高さが不足している場合に、骨再生療法を併用しますが、このようなケースで感染症のリスクが若干上がります。感染症対策には細心の注意を払っておりますが、場合によっては安全面を考慮して２回法を選択する場合もあります。