サイナスリフト

インプラント治療は、歯槽骨(歯を支えるあごの骨)にインプラント(人工歯根)を埋め込む治療ですが、歯槽骨に充分な高さや厚みがない場合は、インプラントを埋入できない場合があります。このようなケースで、増骨治療や骨造成治療と呼ばれる足りない骨を増やす治療があります。

サイナスリフトとは

サイナスリフトは、上あごの骨に高さが足りないためにインプラントが突き抜けてしまうと診断された際に、上顎洞(上あご上部の空洞)の底側に骨を増やす上顎洞底挙上術と呼ばれる治療の1つで、極端に骨が少ない場合に選択する治療法です。

サイナスリフトは、歯ぐきを横から切開して骨を削り、インプラントを埋入する箇所の上顎洞の底を押し上げて骨補填材を填入してインプラントが収まるスペースを作ります。

サイナスリフトのメリット

極端に骨の高さが足りない場合でも治療ができる

同様に上あごの骨の高さを補填する治療でソケットリフトがありますが、ソケットリフトはあごの骨の高さが5mm以上必要なことに対して、サイナスリフトはそれ以下でも治療が可能です。

隣接する歯を複数本治療する場合に有効

インプラントを埋入する穴から骨造成を行うソケットリフトでは、インプラントの本数分の施術が必要になるのに対して、上顎洞(上あご上部の空洞)に直接アプローチするサイナスリフトは、一度に広い範囲の骨造成が行え、隣接する複数本のインプラント治療をする場合に有効な治療です。

サイナスリフトのデメリット

治療期間が長くなる

サイナスリフトとインプラントの埋入は同時に行える場合もありますが、それでもサイナスリフトで補填した人工骨が強固に安定するまでに6~10か月ほどかかるため、トータルの治療期間は長くなります。同時にインプラントを埋入ができない場合はさらに長くなります。

患者様にかかる負担が大きい

インプラントを埋入する手術とは別に歯ぐきの切開や骨の切削が必要になるため、患者様の身体にかかる負担は当然大きくなり、治療期間も長くなります。治療後の痛みや腫れもその分強くなることが多いです。

サイナスリフト治療の流れ

歯ぐきを側面から切開し、骨を削って直接上顎洞を開きます。

専用の器具で上顎洞を押し上げて保津補填材を填入します。

状態が良ければインプラントを埋入した後に、開くときに取り除いた骨またはメンブレン(歯槽骨造成に使用する膜)で蓋をして歯ぐきを縫合します。

インプラントと骨の結合期間をおき、人工歯を取り付けて治療が完了します。

安全性が高い人工骨を使用

増骨治療・骨造成治療を行う場合、牛や人由来の骨補填材を使うことがありまが、生物由来であるが故に、不適合やアレルギーといった拒絶反応、細菌感染などのリスクを伴うことになります。
当院では、このようなリスクをなくすために「β-TCP」という人工骨の補填材を使用しています。

β-TCPは、骨に吸収される性質があるためとても安全性の高い骨補填材です。

慎重に検討し治療を決めるべき

上あごの骨が足りずにインプラントを埋入できない場合の治療方法としてのサイナスリフトですが、身体にかかる負担が大きく治癒に時間がかかる治療のため、慎重に検討する必要があります。
同様に上あごの高さが足りない場合の治療では、比較的負担の軽いソケットリフトという治療もあります。あごの状態次第では、こちらを選択することができる場合もあります。

当院では、あらゆる治療の選択肢をご提案して、しっかりご理解いただけるようにご説明しております。患者様には、すべての選択肢を納得した上でご選択いただけるよう努めておりますので、気になることやご希望があればご遠慮なくお話しください。